(公社)富山県鍼灸マッサージ師会による会報137号(2016.7)10頁です。
哲学者 鷲田清一氏によると「命に近い仕事ほどお金が動かない」そうである。
命に近い仕事とは子育て、介護、医療、農業等々がある。現代社会は行政や企業が提供するサービスに依存した巨大な流通システムから成る消費社会であり、命に近い仕事までお金を払って享受している。
消費とは使い尽くすことで、命に近い仕事はお金に換算できないと思うのだが料金体系が確立していて市場によって支配されている。失業や病気によって収入を失ったとき、地震や台風の自然災害に遭遇したとき、国際紛争が発生したときに市場システムが機能不全になり我々の生存そのものが根底から脅かされる。
医療においても日頃過剰なサービスに依存しないで、素手でできる健康管理をして自立した生活を営まねばならない。地域コミュニティーを再建して町内支えあって助け合って生きていく生活スタイルを促進しよう。そのためにも本来的に地域包括医療であった素手に近い医術である鍼灸マッサージをもっと普及させなければと思う。
表紙の写真は富山市ガラス美術館と富山市立図書館本館が入居する隈研吾氏設計の「TOYAMAキラリ」外観です。
(記 林)